それでも海外で飲食店をやりますか?

まず、日本でも海外で飲食店を始めてみようという方には様々なタイプの方がいますが、大きく分けるとこの3つに別れると思います。

A、優秀なマネージャーにお店の事は全て任せて、その他の運営、広告宣伝、経理に至るまで全て優秀な人材に託す。

B、優秀なマネージャーにお店の事は全て任せて、その他の裏方業務は自分でやる。

C、自らがマネージャーとしてお店に立って指揮をして、お店が終わった後に経理から何から何まで自分でやる。

どれが一番良いかと言うのは人それぞれだと思いますが、一番経費が削減できて、まず最初にお店を始めるのであればCだと思いますので、Cを基準に話していきたいと思います。

 

海外で飲食店を始める為のステップ

1、開業資金を作る

まず何と言っても資金がない事にはお店は始められません。

正直、海外で飲食店を始めることはお金があれば、全くの素人だろうが誰にだって出来る訳です。

今回は海外でもアメリカでの開業ということでお話ししていきます。

開業には、小さいお店であっても最低30万ドル(今の為替だと日本円で4500万円)くらいは必要です。

ここでの小さいお店とは約20−30坪くらいのサイズ感です。

これはアメリカで飲食店を始めるならどの州でも大体これくらいは必要だと思います。

しかし、この開業資金は一般的には中々簡単に用意できる人は少ないと思います。

融資を受けたり家族や知人から借金したりして始める人が多いと思います。

融資は銀行からしてもらうのが通常ですが、中々移民として来たばかりの日本人に融資をしてくれる銀行は少ないです。

ハワイには日本人で起業したいという人が比較的他の州よりも多い事から、Farst Hawaiian BankやCantral Pacific Bankなどは日本人でも融資の相談に乗ってくれる様です。

これはアメリカではハワイ州だけでは無いのでしょうか?

その他、移民の多いアメリカではクリエイティブファイナンシングと言って、色々な方法で資金を調達する人達もいます。

クリエイティブファイナンシングのリンク

さらに運転資金として5万ドル(約750万円)位はあった方が安心です。

 

2、法人を設立

法人はビザがなくても、日本人でも作れます。

法人設立代行業者もいますが、多分$2000くらいします。

自分でやれば登録料だけで数百ドルですむので、大して難しくないので自分も出来ます。

 

3、ビザを申請する

これについては専門家でないと言及出来ないところがあるらしいのですが、自分の体験談としてお話ししますと、投資額が30万ドル以上ないとビザは貰えないとか言う事もよく言われているのですが、私的には投資額が一番重要ではないように思えます。

それよりも雇用をどれだけもたらせるか?

地元の人達に仕事を与えられる企業である事の方が重要です。

父ちゃん母ちゃんの家族経営で地元の従業員を一人も雇わないと言うのはNGです。

これは理屈的に外国人がビザをもらって飲食店を開き、現地の人達に雇用をもたらし、納税する手助けをするという理由でその国からビザをもらっていると言うことがあります。

この理念から言いますと、やはり投資金額よりも現地にどれだけの雇用をもたらしているかの方が重要です。

 

4、場所を決めて工事、許可などの申請をする。

アメリカにはスケルトン物件よりも居抜き物件の方が多いです。

スケルトン物件とは内装が何もなく白い壁と水道菅、排水管、ガス管などが出ているだけの何も無い状態のことです。

居抜きというのは前の業態の物が残っている状態を言います。

この場合は、もし似たような業態で始める場合は設備が残っているので得する場合もありますが、違う業態にする時は逆に壊して片付けなくてはいけないので、逆にコストがかかってしまいます。

日本のように前者が綺麗にして出て行かずに、造作をつけてプレミアムといって売る場合が殆どです。

その場所でやりたいのならば、前者の造作とリースというのを引き継ぐ必要があります。

リースとは基本的に5年10年とありまして、その間は家賃は一定であるという約束みたいなものです。

例えば5年間のリースが残っていれば5年間家賃の値上がりを心配する必要はありません。

そして、不動産業者と契約しプレミアムも支払ってから工事に入りますが、アメリカでは一々許可を申請しながら工事が進みます。

許可が下りるまで工事が止まるというのは良くあることです。

その間も家賃は当然発生します。

収入がなく出ていくばかりで、ストレスがたまる時期です。

ようやく工事が終わっても、今度は営業許可が下りるのを待ちます。

これが1−2年続く事はハワイでは通常の事です。

アメリカは許可が必要な事が物凄く多いです。

 

5、人材の雇用

いよいよ、開店の目処が経ってきたら人材を探します。

日本から初めて海外でビジネスをする場合は、その文化の違いや、仕事に対する姿勢に驚くと思います。

正直、面接をしてみても誰を雇えば良いのか?初めは判らないと思います。

最初のウチは感覚で良さそうだと思っても、全然想像していた人材でなかったなんて事で苦労します。

今では私は人材の雇用に関してはプロだと言えますが、最初のうちは雇った人達が今日は仕事に来るのか来ないのか毎日ドキドキしていました。

 

6、いよいよ開店

数々の困難を乗り越えてようやく開店する時には、資金もだいぶ減り不安な気持ちでスタートする人も少なくないと思います。

日本とは文化が違う客層への対応、さらに顧客や従業員とのコミュニケーションで言葉が上手く話せずに苦労する事も多いです。

仕事が終われば慣れない経理や英語での難しい書類など、やる事が山積みで睡眠時間を削って事務仕事もこなします。

正直、お店の事で頭が一杯というような日々が続き、嫌になる事もしばしばあります。

そんな中、頼りにしていたマネージャーが辞めてしまったり、仕事に不満を持つ従業員から訴えられたり、色々な事が起こります。

もういっその事辞めてしまおうとさえ思うかもしれません。

更に商売は必ずしも上手くいくとは限りません。

頑張っていても利益が出るかどうかはわからない。

そんな中でも余計なことは考えず自分を信じで商売に集中しなくてはなりません。

数々の困難と戦いながら、あっという間に日々が過ぎていきます。

 

7、本番はこれから

ここまではただの序章、スタートに過ぎません。

アメリカのスモールビジネスの約半分はおよそ1年で消えていきます。

それでもあなたは海外で自分のビジネスをやりたいですか?

しかも日本人であるという事を考えると、多分1年で潰れてしまう可能性はもっと高いです。

それだけ夢と現実は違い、本当に厳しい世界です。

私が言いたい事は、夢を追うのは諦めろと言うのではなくて、覚悟が必要だと言う事です。

自分にやり切れる自信が無いならば、初めからやらない方が良い。

ビジネスは長期戦です。

自転車のように最初は重いかもしれませんが、走り出したらグングン進みます。

でも途中で石が転がっていて転んでもまた起きて、また漕ぎ出しての繰り返しです。

もう一度聞きますが、それでも海外で飲食店をやる価値があなたにはありますか?

 

私の経験から思うこと

ここまで皆さんに厳しい話をしてきてしまいましたが、海外で飲食の経験もなく飲食店を始めるという事は、マラソンでいったら練習も無しに根性でフルマラソンを走りきるみたいな事と変わりません。

私の場合は1998年に日本で居酒屋をはじめてから、何度もつまずき、もう駄目だと絶望した事は百や二百じゃありません。

売り上げが伸びずに悩み、従業員には内緒で休みの日には勉強の為に他のお店で働いてみたり、資金不足で資金を稼ぐために違う事を始めてみたり、常に自分で悩み自分で考えて行動して、前に進んで来た様に思います。

夢を持つ事は素晴らしい事だと思いますが、それにはステップを踏んで足場を確認しながら登っていく事が大事です。

海外で自分のお店を持ちたいのなら、まずは自分がお店を持ちたいエリアで働いてみるとか、それが無理ならば国内でも外国人の多いお店で働いてみるとか、まずは自分のスキルを上げていく事が重要です。

私がハワイで飲食店を始めてみたいという方からお話をいただいた時は、資金力やプランニングが固まっていない方には、理想を追う前にまずはハワイにある既存の飲食店を買収して、それを練習の為に経営する事で色々な事を学ぶ事が出来ます。

そして自分に自信をつけてから理想のお店作りに取り掛かる事をおすすめしています。

この方法が遠回りのようで、一番安全で近道であると思います。

是非、真剣にアメリカだけではなく海外で飲食店を始めてみたいという方は私トシ伊藤にご相談ください。

初回は無料ですのでこちらのフォームに簡単に記入していただきご連絡をいただけますと幸いです。

それでは皆さん、今日も良い1日をお過ごしください。