ハワイ バケーションレンタル90日未満禁止

今回は今年4月13日にホノルル市議会で賛成8反対1の圧倒的大差で通過したBill41という民泊規制法案についてお話しいたします。

Billとは法案という意味です。

これはハワイで民泊を運営している方には切実な問題ですが、将来ハワイに不動産を持ちたいと少しでも考えている方にも大事な話になってきます。

私はハワイには全く興味がないという方でも、民泊には興味がある方や民泊を実際に運営している方にも、世界の民泊事情を知る事は大切ですので是非聴いてみてください。

 

ハワイといえば主に7つの島々からなる太平洋に浮かぶアメリカの1州で、コロナが落ち着いた今現在も毎日多くの観光客で賑わう観光地として有名です。

その主となる島がオアフ島で、ワイキキやアラモアナ、カハラ等の場所の名前を聞いた事がある方も多いと思います。

特にワイキキにはホテルが立ち並び、ショッピングやレストランも充実しています。

ワイキキのホテル稼働率は2019年のコロナ前には平均して80%以上と驚異的な人気でした。

しかし、コロナパンデミックによりホテルをはじめ観光は急降下、その後ワイキキも閑散とした状況が約1年半続きましたが、2021年には60%以上まで一気に回復しそのスピードは物凄いものがありました。

 

それと同じように民泊も1年半のコロナの苦境を乗り越えて同じように急回復して来ました。

しかし、ハワイでは民泊に対して近隣の住民との間で以前より頻繁に問題が起こっています。

住宅地での騒音問題や違法駐車、治安の悪化等、増加する民泊に怒りを示す市民も多いです。

それとは対照的にアメリカ全土で起こっている住宅価格の高騰により、住宅ローンの支払いの為にも民泊運営が市民の強力な収入源になっているという意見もあります。

民泊運営が出来なくなると住宅ローンを払えず、自宅を手放さなければいけなくなく人達も沢山出て来ます。

 

これらの問題に対してホノルル市議会は以前より民泊に対して根本的な対応を審議せず、ひたすら民泊に対して圧力をかけるというだけの対応をして来ました。

そして今回も更に民泊に対して厳しい規制をかける事で民泊を排除していこうという事です。

ここにはホノルルのホテル業界とホノルル市が強く癒着し賄賂などの汚職がある事は過去の経緯で疑われているところです。

今回、コロナのパンデミックでホテル業界が負った負債を取り戻す為に行われた市議会で、民泊規制法案のBill41は今年4月13日にホノルル市議会で可決され、4月26日に市長が正式に署名をし10月23日より施行されます。

内容は当初、民泊の最低賃貸日数を30日未満から180日未満に引き上げるというものでしたが、これについては審議され、まずは90日未満までは禁止という事に落ち着きました。

つまり1年間で最大4組までのゲストの宿泊が可能という事になります。

 

これに対しては反対する市民やバケーションレンタル業者も多く、生活に大きな打撃を受ける人達にとっては極めて深刻な問題です。

現在ホノルル市に対して反対や抗議の声も多く実質的に施行されるまでさらに180日の猶予が与えられており、実際施行されるのは2023年の4月からになります。

2019年に30日未満の短期宿泊が禁止されてから、わずか3年での新たな厳しい改正になります。

段階的に180日未満に変更されるのも時間の問題かもしれません。

 

このようなケースは世界中みてもホテルが多く立ち並ぶ観光地ではよくある事です。

民泊が増加する事によって観光収入は大きく上がりますが、ホテル業界はそこに大きな需要がある事が解ると、民泊に対して治安の悪化やホテルへの需要の低下につながるという事を盾にして、民泊に対して圧力をかけていきます。

そして最終的にホテルがその需要を独占し、ホテルの価格の増加に繋がります。

ワイキキのホテルは値段はコロナ前と比べても高騰しており、今現在は1人1泊2万円でワイキキの端っこの海など全く見えない部屋しかとれません。

日本なら1人1泊2万円払えばそこそこ良いところに美味しい食事が付いて泊まれると思います。

ワイキキは海が見えるようなホテルに泊まりたければ最低でも1泊8万円から10万円は相場でしょう。

騒音が起きたり治安が悪化するのはホテルが増える事でも同じ事です。

それを取り締まるのは保安局や警視局の仕事で、もう少し根本的なところを見直してもらいたいと思うところです。

民泊が増える事によって確かにルールを守らない違法な物件も出てきます。

近隣住民に迷惑をかけたり様々な問題を生むことも確かにあるでしょう。

しかしこういった違法物件のみを取り締まらずに全てを違法としてしまうところがまだ世界中共通していえる事なのかもしれません。

 

日本でも民泊新法ができる以前は同じような傾向がありましたが、政府は日本の観光資源を利用し民泊を使って観光収益にはのびしろがあるというところに目をつけて、民泊に対する新しい法律を制定し違法なものを分かり易くして、事実上民泊を運営しやすいように緩和するという事をしました。

このような事は世界では珍しい事で、世界中が見習って欲しいところだと思います。

結果として施行後は民泊は激減し、その後少しずつ民泊は増えていきました。

それはいかに今までグレーで違法な物件が多かったという事でしたが、徐々に合法的な良い物件が増えていったという事に繋がりました。

皮肉なことにその後オリンピックが延期されたり、コロナのパンデミックにより思うように政府としても収益が見込まれていないという事もありますが、今後日本の観光が戻って来れば日本の大きな観光収益となって来るでしょう。

 

世界一観光客が訪れるフランスでは民泊に対しても先進的です。

パリでは法を改正し8ヶ月以上貸主が住んでいるという事が証明できれば届出の必要はありません。

その上でゲストの情報は6ヶ月間保管することを義務付けており、治安の為に必要な場合の身分照会に役立てるようにしています。

納税も義務付けており、国益にもなり市民の利益にもなるように最大限協力し合っているという事です。

フランスは観光業の収益が自国のGDPの7%を補っているだけあって、公民一体になって観光を盛り上げています。

民泊は行政の姿勢によって有利不利が地域毎で大きく変わってしまいます。

観光に対しての政府の手腕が大きく関わってきます。

 

もし皆さんが日本で民泊を始めようと思っているならば、厳しいルールはあるものの世界的にみても民泊運営に適した環境です。

その上で今後政府が観光に対してどのように考えているのか?

この辺は政権次第で大きく変わる事があります。

今現在、日本のコロナの水際対策として3年間続いているこの鎖国状態がなくなり、観光が戻って来た時に民泊はどのように変貌を遂げるのか?

皆さん、乗り遅れないように今から少しでも興味があれば勉強しておくことが大事です。

日本はフランスのように観光資源が豊富でコロナ以前の観光収益は全体のGDPの2%もありました。

これからの日本のGDP低下を抑えるには観光収益を上げていくことは必須です。

政府が民泊に対して比較的前向きな事、そして民泊新法が出来てからコロナやオリンピック延期等が重なり本調子になれていない事を考えると、まだまだ十分期待は出来ます。

日本の民泊はこれからではないのでしょうか?