売れないアメリカ不動産
売れないアメリカ不動産という事で、タイトルを見るとやはりかなりアメリカも不景気なのか?と思わせる様なタイトルですが、売れ続けてきたアメリカ不動産の流れが今一気に変わってきた事は間違いありません。
これはチャンスなのか?ピンチなのか?という事ではなく、今の市場がどの様になっているかを理解して、自分がもしアメリカ不動産に興味があれば、どの様に行動するのが最善であるのか?という事の参考になれば良いと思いますし、もし興味が無いとしまししても今皆さんの支出の多くの割合を占める衣食住に大きな変化が起きていますので、聞いていただけたら良いなと思っています。
アメリカに住んでいるという視点でお話ししておりますが、アメリカの経済は世界にも大きな影響を与えていますので、日本やその他の国にお住まいの方達にも参考にしていただけると思います。
アメリカでは平均的な家庭で住居に使う費用、つまり家賃ですとか光熱費が占める割合は家計に対して約42%にまで上がって来ているといわれています。
もうすぐ家計の半分を占める勢いです。
インフレの中、アメリカの不動産の平均価格は昨年の同時期に比べますと6.9%も上がっていて、はたから見ると相変わらずアメリカ不動産は好景気に見えます。
そんな中、住宅を購入する場合に多くの人は住宅ローンで購入する訳ですが、その場合の金利はといいますと現在アメリカの住宅ローンの平均金利は6.87%。
昨年の同時期は2.75%くらいでしたのでもうすでに2倍以上です。
これは5000万円の住宅ローンを30年の固定金利で始めたとすると、昨年までは毎月の返済額は253,500円だったものが426,400円になったという事です。
こうなってきますと住宅ローンを組んでまで住宅を購入しようという人達は少なくなってしまいます。
それによって、昨年までは市場価格以上でも売れていたアメリカ不動産の販売は現在は鈍化していて、最近では市場に長く物件が停滞していたり、市場価格以下で売れているケースも見かける様になりました。
逆を返しますと、ローンを必要としないキャッシュバイヤーにとっては物件を市場価格以下で手に入れる事が可能ですので、チャンスという事になります。
しかし、一般的には多くの人達は住宅ローンを必要としていますので、アメリカ全体での住宅の販売件数は昨年の同時期と比べて18%もダウンしています。
これによって何が起きているかと言いますと、物件の購入を考えていた人達はとりあえず現状の賃貸物件にとどまり、新しく引っ越して来た人達もまずは賃貸というように賃貸物件の需要が伸びているという事です。
賃貸物件の需要が高まっているという事は大家としても家賃を上げやすいので、アメリカの賃貸物件の価格は昨年の同時期よりも11%も上がっていて、今も上がり続けています。
私は経済のプロでは無いので、あくまでアメリカに住む一般人の目線で感じる事を言っていますが、実際にアメリカのハワイ州でも光熱費(電気、水道、ガス、インターネット等)は全て上がっていて、私の家は家族4人プラス賃貸1人の5人で生活していますが、この光熱費を全て合わせますと日本円で14万円くらいです。
光熱費だけで家賃みたいな金額になっています。
実際に食品の価格も昨年と比べますと13.5%上がっていますが、実際にはもっと上がっている様な感覚です。
アメリカの今の平均的な家庭での家計に対する食費の割合は約15%、車社会のアメリカのガソリン代や車のローンが占める割合もガソリンの高騰によって食費と同じ15%も占めています。
食料品の高騰もガソリンなどの燃料費の値上がりによって起こっているのが大きいですし、まだまだ需要に対して供給のバランスが追いついていない事によるのも、インフレに大きく影響しています。
つまり毎月50万円の収入がある家計でも食費は7万5千円に抑えなければいけないので、これが四人家族ともなりますと外食を控えたり、なかなか工夫が必要になってきます。
世界屈指の経済大国と言われるアメリカの一般家庭の現実はかなり厳しい状況になっています。
それでも政府は今後も強行的に金利を上げていく予定です。
資本主義と移民の国アメリカは、ますます資本力がある個人や移民を受け入れて、今後も強さを誇示していかなければならないのでしょう。