歴史からみる今のインフレ
1970年代と言えば私が生まれた年なのですが、当時日本は戦後から30年続いた高度経済成長が終焉しました。
様々な理由が考えられますが、一番の原因は原油価格の高騰だと言われています。
この1970年代に主に2回起きた原油の高騰を第一次オイルショック、第二次オイルショックと言います。
物価が高騰を起こして経済に物凄く悪影響を及ぼしたと言われています。
そしてインフレが起きました。
インフレとは物の価値が上がりすぎてお金の価値が下がることを言います。
そもそも、この原油価格が高騰する火種になったのは中東で起きた戦争からです。
当時1973年、原油公示価格を1バレル3.01ドルから5.12ドルへ70 %引き上げることを発表し、1974年には5.12ドルから11.65ドルへ引き上げると決定しました。
これは実に4倍近くに跳ね上がったという事になります。
当時、中東で起きた戦争でイスラエルを支援するアメリカやオランダなどに対する経済制裁でした。
これによって、多くの先進国はエネルギーを中東に頼っていたので、先進国の工業に大きな影響を与えられ経済は悪化。
輸送コストの高騰、工業原価の高騰、原材料費の高騰等、ありとあらゆる物の値段が上がり、日本の消費者物価指数は23 %上昇、狂乱物価と言われる様になりました。
企業は原材料費の高騰で雇用者に対して賃上げする事が出来ず、逆に賃下げや解雇によって失業者が急増し、スタグフレーションが起きてしまいます。
スタグフレーションとは、インフレで物価は高騰しているのに賃金は上がらないという事。
雇用されている側にとってはどうしようもないような状態の事を言い、国家の大半を占める消費者たちの購買能力が低下して景気が悪化します。
通常のインフレとは好景気の時に起こるもので、緩やかに物価が上がっていく事は好景気の証です。アメリカでも2020年までは毎年2%ずつ物価が上昇し、まさに好景気が続いていました。
しかし2022年の今回の様な急激なインフレは消費者に混乱を招き、さらに急激に上がった物価上昇に賃金が追いつかず、スタグフレーションにより消費者を苦しめる事になります。
1970年代は色々な要素はあるものの、このエネルギーコストの高騰によって沢山の事に影響が出て世界的に経済が落ち込んだ時期だったと言う事です。
このアメリカの1970年の景気の低迷は10年近く続き、グレートインフレと言われています。
この状況を現在の2022年と比較してみますと、多少似たような状況が起きているとも言えます。
コロナのパンデミックにより製造業、輸送を中心に深刻な人手不足が起き、企業は営業自体が出来なくなり世界中で景気低迷を起こしました。
政府の一時的な支援金やIT関連の健闘で何とか持ち直し一気に復興に向けて動き出しましたが、コロナ時代からの人的供給の復興が追いつかず、深刻な人手不足に陥り更にインフレを加速させました。
そして、今年2022年に入ってロシアとウクライナの戦争が始まり、ロシアに対して経済制裁を開始すると輸出入を一部制限し、物価が更に高騰。
特にエネルギーに関してはドイツやイタリアはロシアからの輸入に頼っているところが強く、今回の戦争によってかなり痛手を追っているが、アメリカなどはロシアからのエネルギーに頼っている割合はアメリカ全体の10%程度。
それでも世界的に見るとそのしわ寄せで原油の高騰に繋がっています。
私の住むハワイではガソリンを満タンにすると最近では$100を超えます。
日本円にすると今の為替で13000円です。
この異常な物価上昇、1970年代に起きたオイルショックと同じような事が起きるとしたら、これから10年規模で世界的に景気の後退が予想されます。
1970年のオイルショックの時は今回のコロナのパンデミックと同じ様に、オイルショック以前にアメリカでは長引くベトナム戦争によって経済が苦しめられていた時期でした。
そこから立ち直る間もないままに、負の連鎖によってスタグフレーションになり、そこからドル安と続き、経済の低迷期に入っていきました。
私が子供の頃は円高ドル安と言う言葉をニュースなどで良く耳にしました。
今の円安ドル高とは真逆ですが、どちらも良いものではありません。
そしてアメリカはベトナム戦争に敗北し、第2次オイルショックへと続き、負の連鎖を繰り返していきます。
1970年代の景気の低迷はアメリカだけではなく日本も巻き込み、長期的に世界経済が混乱した時期だったという事が解ります。
こんな話を聞いて落ち込んでしまうかもしれませんが、大事なことは景気の低迷が懸念されてる今、その準備はしておこうと言う事です。
知っておくと知らないとでは大違いです。
ある程度予測して、備える。
景気の低迷と言うのは周期があるので必ず来ます。
これは仕方のない事なのです。
どのように行動して自分達の生活や資産を守るかを考える。
もう一度自分の資産を見直したり、副業や収入を増やす為の準備をしたり、新しいスキルを身につけて新たに何か始めてみるのも良いかもしれません。
いずれにしても、慎重に行動する事が大事ですね。
では、また!