日本の観光業のポテンシャル

世界で最も観光客が訪れる数が多い国はどこかご存じですか?

2019年のコロナ前の年では1位がフランス、2位がスペイン、3位がアメリカとなっていました。

ちなみに日本は11位でトップ10にも入りません。

そしてフランスに訪れた観光客の数は年間で8932万人にもなります。

フランスの人口が6739万人なので人口を軽く超えています。

フランスは世界で最も観光客が訪れる人数が多い国で、1位の座を何と30年間もキープしている、言わずと知れた世界一の観光大国なのです。

そんな日本とフランスをちょっと比較してみました。

旅行者が旅行をしたい事の条件としてあげる最も大事な条件は、自然、食べ物、安全性という事です。

この3つ、どれをとっても日本は世界に誇れるレベルなのですが、何故日本は世界の人気の観光地のトップランカーになれないのでしょうか?

それは日本の安全性を守ることに関して、警察省が大きく関係しているのです。

 

日本は昔から、大々的なイベントを開催する時に、例えばオリンピックやワールドカップが開催されるような時には、決まって住民の反対運動が起こる様な国民性があります。

そして警察省も、外国人が沢山来ると犯罪が増えるからという理由で、まず国全体が国際的なイベントに対しては反対派が多いという事があります。

 

前回の2020年のオリンピック開催が決まった後も、国会で警察省が総理に外国人が増える事によって起こる犯罪の増加について議論していました。

基本的に島国なので、黒船来航時代から未だに変わらず外国人が押し寄せる事を恐れている傾向にあります。

 

観光の門を大きく開く事を必然的に警察省と国民は反対するのです。

前首相の菅さんが2020年の多くの反対を押し切って2021年に延期する議論の時にも、警察省が外国人が増える事で犯罪が増える問題はどう考えているんだと、菅前首相に突っ込んでいましたが、菅前首相はそれは警察省の仕事だろと言っていたのをみて、その通りだと思いました。

笑ってしまいますが、そんなくだらない学級会議の様な話が、日本の国会では日々話合われています。

 

それに対し、フランスでは政府も観光の受け入れについては常に前向きです。

フランス自体、多民族の移民国家である事もありますし、国民も多民族との交流にも比較的なれているという事もあります。

更に外国人旅行者を引きつける魅力として、有形、無形文化遺産、芸術創作活動、食文化、生活美学やファッション等、あらゆる分野で魅力的な観光資源が豊かである事もあります。

日本では政府や世論のそんな足枷を常に受けながらも、実際には世界の行ってみたい都市ランキングでは京都と大阪は、それまでは10位から15位辺りをうろうろしていましたが、2010年代後半辺りから、世界ベスト3に度々顔を出すようになってきました。

この背景には2020年オリンピック開催に向けて政府が外国人の受け入れを緩和した事が大きな要因です。

この事でも解るように、世界的には多くの人が日本に訪れたいと思っている需要があるのに、日本はその供給を意図的に抑えてコントロールしているのです。

そして今、東京オリンピックが終わり、コロナの経験も加わって、日本はまた鎖国に戻ろうとしているのでしょうか?

 

日本は今、円安や高齢化などで経済的にもかなり厳しい状況に置かれていますが、日本には世界に誇れるポテンシャルのある産業として、観光があることに政府や国民も気づいて欲しいと思います。

特に私の様に海外に住む日本人にとって、他の国には無い日本特有の歴史的文化やカルチャー、島国特有の海の資源に恵まれた寿司等の食文化、山が多く周りは海に囲まれた美しい大自然等は、日本人としての誇りであり海外の友人を招きたいと思える様な素晴らしい国なのです。

これは余談ですが、2002年の日韓ワールドカップを覚えている方も多いと思いますが、20年も前になってしまっていますが私は当時、お恥ずかしい話ですが修行していた割烹料理店を逃げ出し、居抜きのラーメン店を自ら改装して、20歳代前半の若造ながら半人前の私は居酒屋を始めました。

しかし、始めて数年で経営難に陥っていましたが、2002年の日韓ワールドカップの時に大きなモニターでサッカー中継を始めた事がきっかけで、売り上げを大きく回復することが出来きました。

それ以降はワールドカップ終了後も安定した経営を続ける事が出来ました。

私にとって日本でのワールドカップ開催は、生まれて始めて経験した日本の国際的イベントでしたし、その経済効果を一国民として生々しく感じる事が出来ました。

あの時の街の雰囲気は今でも自分の頭に残っていますが、多くの外国人を街中で見かける事ができ、日本ではなく異国の様な雰囲気でした。

正に活気のある国とはこういう事なのだというのが分かり、それが今の私が海外に住んでいる1つのきっかけでもあります。

 

これからの日本の高齢化、少子化を考えると、どのような産業で国のGDPを伸ばしていくのかという事を考えると、観光産業の持つポテンシャルは大きいのでは無いでしょうか?

フランスに負けないくらいの観光資源を持つ日本で、これから観光産業が盛り上がって行って欲しいと願うばかりです。