クリエイティブファイナンシング

2006年にアメリカに移住して、早いもので16年が経ちました。

当時は賃貸物件に住んでいて、なるべく安く住める所を探して転々としたり、時にはルームシェアをしたりと、とにかく家賃を抑える為に苦労をしていました。

ある事がきっかけでアメリカ不動産に興味を持ち、不動産を所有していなくても不動産投資が出来ることを知り、その方法でいつかは自分でも不動産を持ちたいと言う思いで、ほぼ無一文の状態から2017年に自宅としてを戸建てを購入して早5年が過ぎました。

不動産を購入したのは2017年でしたが、実際に物件を探し始めて購入するまでは3年くらいはかかったと思います。

その大きな理由として2つ考えられますが、一つは私の条件が民泊運営が出来るポテンシャルのある物件でなければならなかったという事。

もう一つは、当時2017年以前もアメリカの不動産は人気があり、1つの物件にオファーが20-30件くらいあるなんて事は日常茶飯事でした。

これはどういうことかと言いますと、リスティング価格より少し上乗せしないと買えないという事で、つまり定価よりも高い価格で購入希望価格を提出しないと、相手にはされません。

当然、売り手も一番高値を付けてくれる買い手に売りたいので、買い手はこの20-30倍の倍率を勝ち抜かないといけません。

そんな中、少しでも売主の心を揺さぶる為に売主に手紙を書いたりまでして、自分達家族の事や、是非私共に譲って欲しいという事を、私の辿々しい英文で伝えると言うような事までしていました。

 

そんなまでの苦労をしてまでなんとか手に入れた、私の現在の戸建ての家の事をSingle Family Homeと言いますが、この家のガレージの部分を改装して今までの5年間民泊運営をしてきました。

その運営状況はと言いますと、決して平坦ではありませんでした。

2017年の末からスタートして最初は順調に運営していましたが、2019年のハワイ州の突然の法律改制で1か月未満のショートタームレンタルが違法になり予約は激減。

そして、その数ヶ月後に追い討ちをかける様にコロナパンデミックで、丸一年ほぼ営業が出来なくなりました。

2020年末辺りからリモートワーカーのブームで何とか1ヶ月以上の予約が取れる様になってきて、5年目でようやく軌道に乗ったと思ったところで今年の2022年、ハワイ州議会で今度は3ヶ月未満の賃貸も禁止になり、遂にハワイは全土でパーミットがないと民泊運営ができない状況になりました。

民泊運営ができないのならば、今の民泊スペースを3ヶ月以上の長期貸しに切り替えるのか?

それとも民泊スペースだけではなく、家を丸ごと賃貸で運営していくのか?

ものすごく悩んでいます。

もし、今の家を丸ごと賃貸に出して、自分達は違う所に引っ越すならば、賃貸で借りるよりかは出来れば2件目を購入したい。

しかし2件目を手に入れるには、ダウンペイメント(頭金)20%は最低でも必要ですし、まず銀行はモーゲージ(住宅ローン)を出してはくれないでしょう。

 

そこで、どうするか?

以前、調べた事があるのですがオーナーファイナンシングと言う投資法があるようなのです。

物凄く簡単に説明しますと、家のオーナーに直接交渉して分割払いで家を売って貰うという方法です。

つまり、売って欲しい家のオーナーに銀行になってもらい、1-5%位のダウンペイメントを支払って、銀行よりも少し高い金利でローンを組むという事です。

こんな事をして売主に何のメリットがあるのだろうか?

売主は普通にエージェントを通して売却する場合、不動産エージェントに売値の6%の手数料、エスクロー費約1%等を、売り手の義務として支払わなければなりません。

それだけではありません、源泉徴収税として州税7.25%(ハワイ州の場合)が売値から引かれてしまいます。

さらに譲渡税、キャピタルゲイン税、外国人や州外のオーナーならば売却時に連邦税15%も源泉徴収されるので、売却価格よりかなり目減りした金額が実際に売主の手元に残ります。

更に売却時には減価償却も関係してきますので、減価償却の残りが少ない程その分キャピタルゲイン税に課税させられてしまいます。

つまり、オーナーファイナンシングのメリットはその売却時にかかる税金を一度に払うリスクを抑え、しかも毎月売主は金利分が利益として入って来る訳です。

トータルで見ると金利の利益分があるので、通常に売却するより多くのキャッシュフローを売主は手にする事が出来ます。

 

実はこの話、一度だけ売却を考えているハワイの州外に住むオーナーさんにした事があるのですが、怒られました。

なかなか理解してもらうのは難しかったですし、私の説明もあまり上手ではなかったのかもしれませんが、多分この事を理解しているオーナーさんは、ちょっとレアかもしれません。

インベストクラブや投資家達が集まる場所にいけば、話を聞いてくれる人もいるかもしれないです。

 

ある友人にこの話をしたところ、なんと彼はこのオーナファイナンシングで自宅として住んでいた事があると言っていました。

なるほど、意外と身近にいるという事は可能性があるという事ですね。

と言うように、アメリカには銀行から融資してもらう他にも沢山のやり方で物件を購入する手段があるようです。

その契約は売り手と買い手で契約書を交わし、エスクロー等の第三者の仲介業者で合法的に所有権の譲渡や、未払いや遅延の場合、差押えができます。

 

このような事を総称してクリエイティブファイナンシングと言うようなのですが、この辺がアメリカ不動産の魅力の様にも思えます。

まさに契約を自分で考えて交渉するクリエイティブファイナンシングは、投資国家アメリカならではの発想なのかもしれません。

 

それともう一つ、これは余談になりますが勘違いのない様に皆さんにお話しておきます。

私は専門家ではないので私の知識だけでお話していますが、一般的に多くの人がハワイの不動産は値上がり率が熱い!1億円で買った物件も数年で1億5000万円くらいになるから持っているだけで5000万円も利益が出るから、お金があるなら買っといても損はないよ。なんて話は聞いた事がある方もいるかもしれませんが、確かに間違いではないにしろ、人によってかかる税金も違いますし、融資の形も違うので、そんな単純な話ではありません。

アメリカ不動産は値上がりもすごいですが、信頼できる専門家に相談し、リスクを理解する事が重要です。

私はアメリカに住んでいて、何しろ不動産が大好きだという事で、私の立場でお話している事をご理解いただき、参考にさせていただけたら嬉しく思います。