最近流行りのFIREについて私はこう考える
最近良く耳にするようになりましたFIREという事についてご存知の方も多いと思います。
知らない方のためにご説明いたしますと、financial independence retire earlyつまり経済的に自立して早期リタイヤするという事です。
これを実現するために億単位のお金を株などの金融資産に投資する事で、その金利の投資利益分の4−7%を受け取って元本はそのまま投資し続ける事によって元本は減らずに毎年その恩恵を受けてそれで生活していくと言う事です。
株価が絶対に下がらないで上がり続けるという事が前提に考えられていますが、簡単に説明しますとこんな感じです。
将来必要な年間の生活費が500万円だとして投資からのリターンで生活していくと考えたとしますと、年利4%のリターンで計算して1億2500万円もの投資資本金が必要になります。
実際には値上がり益にかかる譲渡益課税、もう1つが企業から受け取る配当金にかかる配当課税で、合わせて誰でも一律して約20%課税されます。
つまり税引き後の手取りで約400万円になります。
月割りで33万3333円です。
1億2500万円は最初からあるよって方には悪くない話かもしれませんが、一般的にはそうそういないと思いますので、ここは一般論として冷静に考えていきましょう。
1億2500万円をコツコツと貯めていくには毎年250万円を50年間貯金し続けなければいけません。
これはえらい気の遠くなる話です。
20歳から貯蓄し始めたとしても70歳になってしまいます。
現実的に20歳から毎年250万円もの大金を貯蓄に回すのは難しいと思います。
では、これを積立投資しながら複利で運用していくとどうなるか?
大きく時間が短縮できて約27年で1億2500万円貯まります。
何が凄いってこの複利の力が想像以上にパワーがあります。
複利とは?ご存知の方も多いと思いますが、知らないという方のために簡単に説明いたしますと、100万円づつ毎年4%の複利で積立運用していきますと、一年後には100万円 X 4% = 104万円になりますが2年後には(104万円 +100万円) X 4% = 212.16万円、3年後は(212.16万円 + 100万円) X 4% = 324.64万円というように元本と利益に対して4%で利率がかかっていきますので10年、20年と年数が後になるほど伸び幅が大きなり単利とは比べ物にならない程、利益が出てきます。
もし電卓が側にあるなら計算してみてください。
10年20年経つと物凄い金額になっていきます。
単純に100万円を貯蓄しているだけではもったいないという事が分かります。
歴史的に有名なドイツ生まれの物理理論学者、あの天才アルベルト・アインシュタインの有名な言葉にもあるように”人類最大の発見は複利である”というくらい、この複利には爆発的な力があります。
この力を投資に生かせるならば使わない手はありませんよね?
しかし、ここで興奮している方も多いと思いますが、深呼吸して聞いてください。
冷静に考えてもいきなり250万円もの大金を今年から積立て複利で運用していこうと言ったって、そうそう出来る事ではないと思います。
今から10年20年もの間、節約に節約を重ねてその大事な時間を質素でつまらない人生にしてしまったら元も子もありません。
大切な事は自分の出来る範囲内でやってみるのが良いのではないでしょうか?
最近この手のFIREに関する広告やYoutubeを観ると、切り詰めて支出を減らし有意義な老後を目指そうというものが多すぎてうんざりします。
確かに支出を見直すことは大事ですし有意義な老後を目指したいとは思いますが、それまでの道のりを楽しめなければ目標通りFIRE出来たとしてもただ単にボーとしたつまらない退屈な老後になってしまいます。
支出を見直す事は以前にもお話し致しましたので、ここで補足しておきますが無駄な出費を見直す為に支出の見直しは絶対に必要ですし、今でもそう思っていますが、必要な物まで削り取る事はしない方が良いという事です。
サイドFIREという言葉もありますように自分の出来る範囲で始めてみる事が大切だと思います。
初めから大金を投資していこうなんて思わなくても、投資の年数を重ねる事に自分の年齢も上がり給料も上がれば投資資金も増やせるかもしれませんし、家族が増えたりすれば少し投資金額を減らしたりですとか、自分のペースを保ちつつ続けていく事です。
複利の最大限の力は運用資金が溜まってきた後半にありますので、長く続ける事が一番重要になってきます。
そして10年経って運用資金が溜まってきたら、少し余裕が出来てきて今の仕事を変えてもう少し違う仕事にチャレンジしてみようとか、多少リスクをとって自分で何かを始めてみようとか、リタイヤ後も仕事はしたいのだけれども経済的に余裕があれば嫌々嫌いな仕事をせずとも自分の好きな仕事が選べますし、人生の選択肢を増やす事が出来ます。
つまり投資してきた事によって自分の自由度が上がっていくという事です。
今を楽しく無理をしない程度に少しでも複利投資で運用してみて、その先の人生も楽しく過ごす為には投資を続けていくという事が私なりに考える投資です。
もちろん投資ですのでリスクはありますが、世界経済というのはずーっと右肩上がりです。
つまりリスクというのは世界が滅亡するような何か物凄い災害が起きる様な事ですので、そうなったらどちらにしても生きてすらいないかもしれないので、その様な事がない限りはあまり余計な心配はいらないと思います。
なぜ、私がこの様な考え方になったかといいますと数年前までの私は仕事で稼ぐ事が人生で最大の価値であり、男子として自分の為、家族の為に最良だと考えていました。
毎日馬車馬の様に働いて家族を幸せにするんだと意気込んでいましたが、ある日娘に言われました。
”お父さんはいつも仕事している人”だと。
そして後ろから絡みついてくる娘を今仕事しているから邪魔しないでと言って振り払っていました。
こんな生活に違和感を感じ、行動と考え方を変えました。
なるべく家族と一緒にいたい。
出来る限り家族と共に時間を過ごすように努力しよう。
そう思う様になってから今では子供と同じ時間に寝るようにして、自分だけ早起きして子供達の学校が終わる頃までには仕事は終わらせるように心がけるようにしています。
良い学校に通わせる為、高い学費を払う為に共働きでベビーシッターを雇っていた時期もありましたが、その為に家族の時間を削るくらいなら、地元の学校に行かせて帰ってきたら必ず家で家族が待っているというスタイルに変えました。
妻には仕事を辞めてもらいましたが、今はそれでよかったと思っています。
人によっては今の仕事の事情で難しい場合もあるかもしれませんが、少しずつでも自分の理想に近づける様に平日が難しいならば週末だけでも家族に合わせてみるとか、それが難しいならば週に1日だけでも月に1日だけでも自分の理想に近づける様に、初めは少しで良いので大切なことはその初めの一歩です。
私の場合は当初週7日間、朝6時半に出勤して帰宅は夜の10時間半という生活から今の状態にまで変化させました。
初めは週に一日家族で夕飯を食べようというところから始めました。
流れを変えられるのは自分自身の行動しかありません。
そんな自分の行動から、考え方も変わっていきました。
お金を稼ぐ為には時間を費やすしかないと思っていましたが、このFIREを達成する為にも将来の為にも今ガムシャラに頑張るしかないと思っていました。
しかし、違和感を感じても時間に追われていて考える暇も無い。
そんな中、娘の一言で冷静になり、深呼吸をして、良〜く周りを見渡して、お金だけではなく時間、物事の本質について真剣に考えました。
FIREとは何か?
financial independence retire early、経済的に自立して早期リタイヤすると言う本当の意味は、自由な時間を手に入れる事だと私は今では確信しています。
その為に時間を犠牲にしていては本末転倒です。
FIREで自分が燃えてしまったらどうしようもありません。
時間は最大の財産であり、時間があれば何でも出来ます。
私はまだまだFIREなど出来る立場でも何でもありませんが、自分の側にこのFIREの概念があるのは確かです。
でもその本質は自由、何にも縛られずに自由に生きたい、ただそれだけです。