アメリカの金利上昇が日本に及ぼす影響

アメリカが急激なインフレでそれを抑えるために物凄い金利が上がってしまっています。

これについてサクッとお話させていただきます。

前々回のこちらのブログをみていただいている方は続きになります。

 

そもそも金利って何ですか?ってところからお話させていただきますと、つまりはローンの利子です。

多くの場合、住宅ローンの金利の事を言いますが昨年は2%台だった金利が、今年に入ってから6%を超えて7%までいきそうな勢いなのが、今のアメリカの金利です。

これは単純に5000万円の住宅を30年ローンで購入した場合、金利が2%では毎月の返済額は18.4万円で総返済額は6650万円ですが、金利が6%になると毎月の返済額は29.9万円で総返済額は1億800万円にもなります。

実際に5000万円の家が倍以上の1億800万円にもなるとちょっと考えてしまいますよね。

そうなってくると、今年家を買おうと考えていた人達はやっぱり賃貸にしておこうという事になってきます。

 

好景気を示すバロメーターとして新規住宅の建設等が分かりやすいですが、それに伴って家具や家電製品、食器、生活品も売れ、経済全体が良くなっていき、景気が良くなっていきます。

逆に今回のように金利が高いと人は大きなお金を使いにくくなり、ローンを組んでまで家や車を買わなくなります。

企業もお金を借りづらくなるので世の中の金回りが悪くなるんです。

 

そこまですると、流石にインフレも収まってきます。

つまりは諸刃の剣の様な作戦でアメリカの中央銀行FRBは金利を上げる事によって多少不景気になってでも何とか今のインフレを止めたいという事なんですね。

 

しかし、その後に待っているのは不景気です。

必ず起きるとはいえませんが、かなりの確率で景気の後退が懸念されます。

 

不景気になると不動産価格や株価にも大きく影響してきます。

 

アメリカ人は不動産を購入する時に不動産価格の含み益を期待して購入します。

この事をエクイティーと言います。

エクイティーとは、例えば5年前に5000万円で購入した新築マンションが、5年経った今の価値が6000万円になったとして、5年間で返済も500万円は終わっていたとして残りの返済額は4500万円だとします。

そうすると今の不動産価値6000万円に対して住宅ローンの残りは4500万円なので、6000万円ー4500万円で1500万円がエクイティーです。

つまり今すぐに不動産を売却したら、その差額の1500万円を手に入れることが出来ます。

しかし、わざわざ不動産を売却しなくても、エクイティーを担保として銀行が資産計上してくれて1500万円を融資してくれます。

つまりはアメリカ人にとって不動産はただの不動産では無く、株のように景気によって値上がりしたり、値下がりする有形資産で、わざわざ不動産を売却しなくても、その値上がり益や返済分で現金を手に入れる事が出来る優れた資産という感覚があります。

エクイティーについてもっと詳しく知りたい方は過去のブログでもお話ししていますので、こちらをご覧ください。

アメリカ人はこのエクイティーも実質自由に使えるお金として投資したり、何か違う事に使ったりして、ガンガン消費して、また数年経てば不動産の価値が上がりエクイティーが増えていく事を期待しています。

アメリカ人の購買力の強さはこのアメリカ不動産のエクイティーの存在が大きいというところがあります。

なるほど、一般的なアメリカ人でも不動産を利用する事によって資産が築きやすい事が分かりました。

しかし、アメリカは過去に何度かこの不動産価格の大暴落を経験しています。

いくらなんでもずっと上がり続けるという事はありません。

 

では、過去にどの様な暴落があったのか?

大きなところで、ざっと100年前から見ていきますと、世界大恐慌の原因となったウォール街大暴落から

1929年 ウォール街大暴落(ブラックサーズデー)

1971年 ニクソンショック

1987年 ブラックマンデー

1991年 日本バブル崩壊(日本)

1997年 アジア通貨危機

2001年 ITバブル崩壊

2006年 ライブドアショック(日本)

2008年 リーマンショック

という感じで、最初の1929年のウォール街大暴落から1971年のニクソンショックまでは約40年間大きな暴落はありませんでしたが、その後はアメリカでは10数年毎に大きな暴落があります。

ここ100年間の世界経済の混乱の大きな要因になっているのがアメリカ経済です。

そしてその事は必ず日本にも大きな影響を与えてきました。

アメリカ経済の6−7割は企業ではなくて国民の消費だと言われています。

国民の購買力の低下がアメリカ経済に与える影響は甚大です。

その中でも不動産価格の下落と、アメリカの経済の下落はイコールと言っても良いぐらいです。

 

アメリカの経済はこれらの過去の大暴落を経験した後は、必ず復活して大暴落の前以上になって来ました。

アメリカ人の多くは今後も何かしらの暴落があっても復活するだろうという気持ちがありますが、他の国ではそうは行かない事が過去にも多くありました。

言って見たらアメリカはジャイアンみたいな存在で、自分が原因で不景気にしておきながら他の国を巻き込んで自分だけ復活するような事をしてきました。

同じように大きな不景気の波を食らってもアメリカはまた立ち上がってきますが、日本は耐えられるでしょうか?

実際に1991年に日本のバブル崩壊から世界中にその波は広がりましたが、アメリカは何なく復活し日本はそこから停滞しています。

その背景にはアメリカの安定して増え続ける人口が大きく関係しています。

先進国の中でもアメリカだけは100年前からずーっと人口が増え続けています。

日本の人口は2004年をピークに減り続けています。

あの中国でさえ人口のピークを迎え、減少傾向にあります。

 

今回のこのコロナショック後の世界インフレによるアメリカの金利上昇が、世界にまた大きな波を起こす可能性はかなり大きそうです。

それでもまだ上がり続けているアメリカの不動産価格ですが、ここ最近は市場価格を下回る価格で取引される事も珍しくなくなってきました。

 

この強気のジャイアン、アメリカの経済が世の中に波紋を起こすのも近いでしょう。

しかし、景気には波があって当然。

良い時もあれば悪い時もあります。

問題はどのように対処していくかです。

 

今後のアメリカの金利と不動産価格からは目が離せなそうです。